アレッシィやフィアット・パンダのデザインで知られるイタリアのプロダクトデザイナー、ステファノ・ジョバンノーニ氏の手によるイタリアデザインの「N」がいよいよ登場する。
そのプロダクツ・コンセプトと、イタリアデザインの神髄について、NECのケータイ製作を統括するクリエイティブ・ディレクター 佐藤敏明氏に聞いてみた。
果たして「N」がめざすイタリアとは、そして「N」のケータイ・ルネサンスとは、いったい?
その基本コンセプトが、いま明かされる!!

イタリアのデザインの素晴らしさは、車とか家具に例をとるとわかりやすいですね。車にしろ家具にしろ、ある種の道具であって、そこには機能がなくちゃいけない。だけど機能一辺倒で終わらないところにイタリアのデザインの凄さがあるんだと僕は思いますね。例えばフィアットの「チンクエチェント」っていうルパン三世が乗ってる車なんていうのは、とてもユニークなカタチをしていますよね。あのカタチをいまだに愛し続け、それが当たり前の価値として共有されている。人のための技術といった単なる人間工学を超えた、人間の感性までを刺激する感性工学みたいなものがイタリアのデザインには存在するんですね。
じゃ、なぜイタリアはそういうものがつくれるのかというと、これは僕の想像ですが、マンジャーレ、カンターレ、アモーレといった人間の行動欲求にいちばん近いところの「楽しく食を味わうこと」「歓びを歌うこと」「愛すること」をとても大切にしていて、そういう文化がローマ時代からずっと根付いているからなんだと思いますね。
今回コラボレーションするステファノ・ジョバンノーニ氏というデザイナーのおもしろいところは、例えば「楽しく食べる」ということでいうと、単に機能的に食事をするための器のデザインだけではないわけです。考え方の根底に、おいしく食べるためにはまずは楽しいキッチンであるべきだとか、楊枝入れひとつとってみても、それは単に楊枝を入れるケースではなく、使われるときでも使われないときでも、そこにあるだけで幸せを感じさせるようなデザインであるべきだという信念がある。そういうところが彼の感覚の素晴らしいところだと思いますね。デザインの中に本能の歓びがある、それがイタリアのデザインなんです。
イタリアのデザインに人間性というものがかかわっているのは間違いのないことですが、その根底にはレオナルド・ダ・ヴィンチの存在が大きく影響していますね。
ダ・ヴィンチっていう人は、いわゆるクリエイティブにかかわる部分はなんでもやっているんですね。モナリザの画家かと思えば、ヘリコプターみたいなものを動力がない時代から考えていたりとか、それこそ建築なんかもやっているし、人間の筋肉のディテールを知るために解剖学までやってのける。人間とは何か、人間の豊かさとは何かということを多角的に掘り下げているんですね。ダ・ヴィンチに見習うべきところは、興味を持つことと、そこからの探求心というのかな。当然、そこには見識もなくちゃいけないし、もちろん人間を知る力、自分を表現する力がなくちゃいけないわけで、イタリアのデザインが人間性に迫れるというのは、物事をそういうふうに本質からしかも多角的に捉えるという「ダ・ヴィンチ精神」が脈々と受け継がれてきたからだと思うんですね。

いまNECは、次々とケータイに新しい考え方を導入しようとしているところで、こういう時期だからこそ私たち自身が「ダ・ヴィンチ精神=生活視点からのクリエイティブ精神」みたいなものを強く持っていたいと思うわけです。あらゆることに興味関心を持って、その上でいままでのケータイが本当に正しいのか、いままでの使い勝手が本当にいいのかどうか。コミュニケーションをもっと豊かに楽しむためにはどういう機能の工夫があるのかとか、どういう伝え方の工夫があるのかとか、そういうことをもう一度、人間本来の感情に立ち戻って見つめ直さなくてはならないと思っています。 ややもするとモノづくりって、作り手の都合が優先された世界観が展開される印象が強いのだけれど、もうそろそろそういう世界じゃなくて、人の気持ちとか憧れのようなものをもっともっと包括して、それでいて機能もあるみたいな…そんな段階をめざしてもいい時期なんですね。道具としての存在より、それを使いこなす生活感みたいなところを尊重するというか、その人の人間性とか感情とかスタイルが見えてくるようなケータイをつくること、それが私たちがめざす「ケータイ・ルネサンス」なんです。
ケータイを使うことによって、今日という日がより楽しくなるとか、それを持っている自分がより素敵に思えるとか、手にしているだけで意識までルネサンスされちゃうもの。そんな「ケータイ・ルネサンス」的な感動と驚きを、こんどのNでお届けできると思います。残念ながら、いまは詳細のすべてを明かすことはできませんが、きっと期待を裏切らないものになっていると思います。
「ケータイ・ルネサンス」を掲げるNECの新たな取り組みと、イタリアの大物デザイナー、ステファノ・ジョバンノーニ氏のコラボによる“名機誕生”に、どうぞご期待ください!
- Toshiaki Sato
佐藤敏明 - NEC モバイルターミナル事業本部 チーフクリエイティブディレクター


- Stefano Giovannoni
ステファノ・ジョバンノーニ - 1954年、イタリアのラ・スペツィア生まれ。1978年フィレンツェ大学建築学部卒業。1979〜1991年、フィレンツェ大学建築学部で教鞭を執るかたわら研究活動に従事。ミラノのドムス・アカデミー、レッジョ・エミリア市のウニベルシタ・デル・プロジェットのマスター・プロフェッサー、およびジェノバ大学建築学部の工業デザイン教授を歴任。現在は、ミラノを拠点に活動。建築家としてのみならず工業デザイナー、またインテリアデザイナーとしても活躍。今までに、Alessi、Cedderoth、Deborah、Fiat、Flos、Hannstar、Helit、Henkel、Kokuyo、Inda、Laufen、Lavazza、Magis、Oras、Oregon Scientific、Seiko、Siemens、3Mなど、数多くの企業とのデザインコラボレーションに携わる。Alessiの"Girotondo"と"Mami"シリーズ、"Il BagnoAlessi"、Magisの"Bombo"シリーズなどは大ヒット商品として成功を収めている。 過去に重要な賞を数多く受賞しており、作品の一部はポンピドゥーセンター(パリ)とMoMA(ニューヨーク)にも永久保存されている。
次回更新:4/20予定
次回は、より詳しいデザインのお話しをご紹介します。





































